ポルシェの社用車だった!世界に一台だけ存在するターコイズカラーが美しい911
2020年10月31日
1978年、ポルシェはカスタマーからの特別なリクエストに応えることを目的とした「パーソナライゼーションプログラム」をスタートしているが、オーダーメイドの需要が世界的に高まったのは1986年。そして、ポルシェ エクスクルーシブに名称を変更し、現在はポルシェ エクスクルーシブ マニュファクチャーという部門で世界中からのワンオフオーダーを受け付けている。
911ターボ 3.3をリースで購入
こうして誕生した彼らのアイデアは、ダークブルーメタリックの911カレラにターコイズブルーを加えるというものだった。彼は懇意にしていたビーティッヒ・ハイムのペイントショップに依頼した。そのペイントショップは、ユニークな塗装のリクエストにも応えてくれることで有名だったためだ。
「プライマーを塗ったあと、911を生産ラインから外して、パネルバンで塗装工場に運びました」と、ブロドベックは懐かしそうに話す。
「まずはベースとなるダークブルーを塗って、次にハイライトのターコイズを仕上げました。塗装工場にはポルシェのデザイン部門でカラーや素材を専門としていた、エンジニアのレインホールド・シュライバーが来てくれて、ペインターにフリーハンドでどのように塗装すればいいのか、正確な指示を出してくれました」
ベルベット製カーペットはウンターリーシンゲンのマポテックス、インテリアとフロントラゲッジルームのレザートリムはヴュルツブルクのSCシェーファーが担当。サンバイザー、スイッチやボタン類もすべて、微妙な色調整が行われ、ターコイズブルーに統一された。
「このターコイズカラーはどこに行っても目立つので、様々なところへ出かけていったものです。最初のドライブはフュッセンへの旅でした。国境の検問所に並んでいると、反対車線からやってくる人たちに“グッドラック!”と声をかけられたりしました」
イタリアにも頻繁に訪れる
ブロドベックは歴代5名の社長のアシスタントを務め、ポルシェ・エクスクルーシブ責任者に就任した。そして、彼の相棒ともいえる社用車はスウェーデンへと渡り、1986年7月にスウェーデンで登録されている。走行距離はその時点で4万kmを刻んでいた。31年間、北欧にとどまり、ふたりのオーナーがそれぞれ6万kmずつ走らせている。
そして、2017年にポルシェコレクターであるロニー・パンホルストがこの車を発見した。彼は同じくポルシェコレクターである友人のフランク・トロッシュに相談を投げかけた。実はトロッシュは17歳の時に、車に出会っていたのだ。
トロッシュはこう話す。「私の父は工業用プラスチックをポルシェに納品する仕事をしていました。ティルマン・ブロドベック氏と友人だったのです。彼はよく、ニュルンベルクの私たちを訪れるために、あのターコイズポルシェをドライブしてきていたんですよ」。そして彼は、「この車を買うべきだ。夢のようなストーリーをもった、世界に一台の車だから」と声をかけた。
入庫前にフライベルクのポルシェ・クラシックにおいて、フルレストアが行われた。すべてのフルードとフィルターの交換、車高やバランスの調整、ブレーキホースやその他のゴム製パーツの交換、電気系統のチェック、脆くなったシール類の交換など、必須の修復が施された。
ポルシェ・エクスクルーシブのトップとして、ポルシェ・オブ・ジル・サンダーやスイスの著名な家具デザイナーのカルロ・ランパッツィのために鮮やかなオレンジ色の911ターボ・カブリオレを手がけたブロドベックは、「今見ても、このターコイズカラーは素晴らしいです」と言いながらしばらくの間ターコイズのシートに腰をかけていた。
引用:octane.jp